コラム

沖縄はどこへ行く?

先日、国の辺野古基地建設を巡って、沖縄県の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画をめぐり国が翁長雄志(おながたけし)知事を訴えた代執行訴訟で4日、国及び県双方が、福岡高裁那覇支部の示した和解案を受け容れ和解が成立しました。

アメリカ軍普天間基地の移設計画を巡って、国と沖縄県との間では3つの裁判が行われていて、このうち沖縄県の翁長知事が、移設先の名護市辺野古沖の埋め立て承認を取り消したことに対し、国が知事の代わりに取り消しを撤回する代執行を求めた行政訴訟でのことです。 裁判所の示した和解案の骨子は、
① 国と沖縄県の間で行われている裁判をすべて取り下げます。
② 国は名護市辺野古沖の工事を一旦中止したうえで、翁長知事が行った埋め立て承認の取り消しの是正を指示します。
③ 沖縄県側が国の是正指示を不服とする場合、沖縄県は国の是正指示を取り消す裁判を起こします。
④ ③の裁判の判決結果には国及び沖縄県とも従うということです。
⑤ なお、裁判の④の判決までに、国と沖縄県は、円満な解決に向けた協議を行うことを約束する。
というものです。
そして、報道によると、政府は当初工事の中止は受け入れられないとしてきましたが、安倍総理大臣は、国と県とのいわば訴訟合戦が続くような事態は好ましくなく、対立が長引けば普天間基地の危険性の除去や移設計画の実現も危うくなりかねないとして、新たな和解案を受け入れる意向を固め和解に応ずることとしたというのです。

全くの茶番です。

殊に、安部首相が和解に応ずると考えた上記の理由は、恰も、混迷する事態に「安部の守」が現れて見栄を切って物事を解決する歌舞伎のような光景さえ想起させます。
本当に茶番です。

「和解」とは、当事者双方が互譲(互いに譲ること)して、紛争或いは争訟(そうしょう)を解決することを言います。
今回の「和解」によって何が解決したのでしょうか?
国が得たものは、代執行訴訟において国の敗訴の危険(この確率は高かったのではないでしょうか?)を避け、別途是正指示の手続を利用して勝率の高い行政事件訴訟での決着を目指しました。
疑問は、沖縄県が何故代執行の訴訟を継続しなかったことです。代執行の訴訟での勝訴は全く意味のないことだったということでしょうか?私が沖縄県の代理人だったら今回の「和解」には断固として応ずるべきではないと考えたでしょう。

私は、判事補時代に2年間沖縄に赴任したことがあります。その間に得たものは今の私の価値観の中に大きな影響を与えているように思います。
沖縄県知事に前知事の仲井真さんが就任したとき、仲井真知事は政府と対峙するかのような雰囲気を表に表現していたように思います。
しかし、私は、仲井真さんは、いつか馬脚を現すと思っていました。沖縄の教養人は全てそう思っていたのではないでしょうか?
案の定、辺野古に基地移転を承認しました。さすがに沖縄県民はそのような仲井真さんを許すことなく、次の選挙では落選しました。

今回の「和解」が成立してまもなく、国は沖縄県に対し、是正指示を出しました.何らの協議をすることなくのことです。
国が目論んでいた手続が開始しました。
穿った見方をすると、首長である翁長県知事らをはじめとする沖縄県行政担当者は、このような手続及びその後来るであろう結論を予想し、なおかつ自らが基地反対を唱え沖縄県民の味方であることを装ったに過ぎないのではないかとさえ思えるのです。

沖縄は一体どこに行ってしまうのでしょうか?